石灰岩のスポート、アセフェルで登る。
この日は、キャンモアに住む日本人クライマーのみんなと登る。
キャンモア周辺のクライミングエリアはBow Valleyに点在していて、主に石灰岩スポート。
何と言っても、わたしは石灰岩が苦手だ。特にどっかぶりなやつ。
ここに行きましょうと、みんなから提案されたAcephale(アセフェル)という岩場は5.12以上のルートばかりで、見るからに厳しそう。
うーん。登れるかなあ…。
正直、前日の夜はちょっと憂鬱だった。
アセフェルは、キャンモアの町から車で20分ほどの近さ。
アプローチは40-50分。汗をかきかき歩く。
早速10代でアップし、11bのNeoconstructionistをトライ。
苦戦すると予想していたけれど、案外すんなり登れた。
かかりが良く、フットホールドも大きく、見た目より登りやすかった。
これで気を良くしたか(笑)、12bのトップ100をトライしてみることに。
Bucking Horse 12b
30m以上ある長いルート。でも出だししか傾斜がなく、途中も結構休めるとのこと。
よし、やってみよう!
出だしは脆いので慎重に、でも無駄にパンプしないようリズムよく、を意識してグイグイ登る。
何とかこなして、レスト。
そこからの比較的簡単なセクションで、ラインを誤り、フォール。
あー、もったいなかったな。
このルートはここが核心といったところはなく、上部もレストを挟みながら、短い悪いセクションをいくつか越えていく。
悪いムーブが続かないので、長いけれど、比較的登りやすいのかな。
一度落ちてからは、そのまま落ちずに登り切ることができた。
登り始める前は、もっと全然ダメかと思っていた。
傾斜がなかった、というのが大きいけれど、でも前だったらこういうスポートルートは、悪い箇所で踏ん切りがつかず、ウジウジしてパンプして終わっていた。
フィジカルの面も大きいけれど、とにかく、わたしはスポートルートに自信がない。
でも、この春カサメリのNDDを打ち込んだことが大きかったかもしれない。
実感としてはあまりないけれど、このルートを登ってみて、スポートも少しずつ成長しているのかも、と思えた。
もちろん、わたしは苦手課題をもっともっと登りこまなきゃいけない。
でも、ただただ苦手意識を持つのではなく、トライすると決めたからには、まずは強い気持ちを持って、そして自信を持って一手一手出していくことが大事。
自信がなくなったり、迷った時は、今まで自分が積み重ねてきたことを思い出せばいい。
当たり前のことだけど、改めてそんな発見があった、良い1日だった。
と、終わりたいところだったけど、この日はそれだけでは終わらなかった。
わたしっぽいと言えば、わたしっぽいのだけど…。
ワンテンだったし、上部も結構安定して登れたし、次はいける!と2便目を出す。
が!変なところでラインを間違え、行き詰まり、あえなくフォール。
わたしはいつもそうだ。
オンサイトトライであともうちょっと、という惜しい登りをしても、次のトライはボンミスをしてRPを逃す。
その時点で結構疲れてしまっているので、次を出してももうヨレヨレでダメ、という悪循環に陥る。
今日がまさにそれだった。
2便目の後から、雲行きが怪しくなり、パラパラっと降り始める。
みんなも先に帰り、日暮れも近くなってきた。
今日はもう諦めてもよかったのかもしれないけれど、2便目の悔しさから、どうしても登りたくて3便目を出す。
集中して登っていたと思う。
自分の持っている力は全部出し切った。
でも結局、途中でヨレ落ち。
ロープにぶら下がりながら、悔しくて、情けなくて、どうしようもない気持ちでいっぱいになった。
でも、これが自分の実力。
反省点は明確で、それを直していくことで、次につなげるしかない。
自分にうんざりする気持ちが溢れ出る中、次は絶対登る、と心に決めて下山した。
キャンモア近郊のスポートクライミングは、正直、バガブーの天気待ちの間にちょこっと遊べれば、くらいにしか考えていなかった。
今日も、こんなに濃い1日になるとは予想していなかった。
どこでだって、どんなルートだって、本気で登れば学ぶことが大きいと教えてくれた1日だった。
なんだかずっとバガブーの天気は思わしくない様子だけど、ここで出来ることを思い切り楽しもう。
さやか