ヒゲとバルボア

2018年夏から2019年春にかけてのクライミングトリップの記録

石灰岩のスポート、アセフェルで登る。

この日は、キャンモアに住む日本人クライマーのみんなと登る。

キャンモア周辺のクライミングエリアはBow Valleyに点在していて、主に石灰岩スポート。

何と言っても、わたしは石灰岩が苦手だ。特にどっかぶりなやつ。

ここに行きましょうと、みんなから提案されたAcephale(アセフェル)という岩場は5.12以上のルートばかりで、見るからに厳しそう。

うーん。登れるかなあ…。

正直、前日の夜はちょっと憂鬱だった。

 

アセフェルは、キャンモアの町から車で20分ほどの近さ。

アプローチは40-50分。汗をかきかき歩く。

 

早速10代でアップし、11bのNeoconstructionistをトライ。

苦戦すると予想していたけれど、案外すんなり登れた。

かかりが良く、フットホールドも大きく、見た目より登りやすかった。

 

これで気を良くしたか(笑)、12bのトップ100をトライしてみることに。

 Bucking Horse 12b

30m以上ある長いルート。でも出だししか傾斜がなく、途中も結構休めるとのこと。

よし、やってみよう!

 

出だしは脆いので慎重に、でも無駄にパンプしないようリズムよく、を意識してグイグイ登る。

何とかこなして、レスト。

そこからの比較的簡単なセクションで、ラインを誤り、フォール。

あー、もったいなかったな。

 

このルートはここが核心といったところはなく、上部もレストを挟みながら、短い悪いセクションをいくつか越えていく。

悪いムーブが続かないので、長いけれど、比較的登りやすいのかな。

一度落ちてからは、そのまま落ちずに登り切ることができた。

 

登り始める前は、もっと全然ダメかと思っていた。

傾斜がなかった、というのが大きいけれど、でも前だったらこういうスポートルートは、悪い箇所で踏ん切りがつかず、ウジウジしてパンプして終わっていた。

フィジカルの面も大きいけれど、とにかく、わたしはスポートルートに自信がない。

でも、この春カサメリのNDDを打ち込んだことが大きかったかもしれない。

実感としてはあまりないけれど、このルートを登ってみて、スポートも少しずつ成長しているのかも、と思えた。

 

もちろん、わたしは苦手課題をもっともっと登りこまなきゃいけない。

でも、ただただ苦手意識を持つのではなく、トライすると決めたからには、まずは強い気持ちを持って、そして自信を持って一手一手出していくことが大事。

自信がなくなったり、迷った時は、今まで自分が積み重ねてきたことを思い出せばいい。

当たり前のことだけど、改めてそんな発見があった、良い1日だった。

 

と、終わりたいところだったけど、この日はそれだけでは終わらなかった。

わたしっぽいと言えば、わたしっぽいのだけど…。

 

ワンテンだったし、上部も結構安定して登れたし、次はいける!と2便目を出す。

が!変なところでラインを間違え、行き詰まり、あえなくフォール。

 

わたしはいつもそうだ。

オンサイトトライであともうちょっと、という惜しい登りをしても、次のトライはボンミスをしてRPを逃す。

その時点で結構疲れてしまっているので、次を出してももうヨレヨレでダメ、という悪循環に陥る。

今日がまさにそれだった。

 

2便目の後から、雲行きが怪しくなり、パラパラっと降り始める。

みんなも先に帰り、日暮れも近くなってきた。

今日はもう諦めてもよかったのかもしれないけれど、2便目の悔しさから、どうしても登りたくて3便目を出す。

 

集中して登っていたと思う。

自分の持っている力は全部出し切った。

でも結局、途中でヨレ落ち。

ロープにぶら下がりながら、悔しくて、情けなくて、どうしようもない気持ちでいっぱいになった。

でも、これが自分の実力。

反省点は明確で、それを直していくことで、次につなげるしかない。

自分にうんざりする気持ちが溢れ出る中、次は絶対登る、と心に決めて下山した。

 

キャンモア近郊のスポートクライミングは、正直、バガブーの天気待ちの間にちょこっと遊べれば、くらいにしか考えていなかった。

今日も、こんなに濃い1日になるとは予想していなかった。

どこでだって、どんなルートだって、本気で登れば学ぶことが大きいと教えてくれた1日だった。

 

なんだかずっとバガブーの天気は思わしくない様子だけど、ここで出来ることを思い切り楽しもう。

 

 

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Bucking Horseを登る、キャンモア在住スキーヤー&クライマーのいずみちゃん。

さやか